201706193.jpg 平成14年から1年越しで大分県の宇目町(現在は佐伯市)に9回通いました。
校歌のご依頼を受けましたがこの町の出身者では無い私でしたからお引き受けする条件として「四季折々の風土に触れて作って良いですか?」とお願いした訳です。
町にはホテルもコンビニもありませんでした。なので毎回、私は色々なお宅にお世話になりました。
夕食には親戚の皆さんも集まり大歓迎を受けました。「素晴らしい所ですね!」と案内して頂いた場所のお話をし「自慢は何ですか?」と必ず聞きました。
すると「水と空気が良い事くらいしか何もありません」と皆さん仰るので「それが一番素晴らしい事で世界に誇れる事ではないですか!」と話すと「でも都会の暮らしに憧れて若い世代は皆出て行ってしまいます」と淋しそうに日本の林業が行き詰まっている事なども聞かせて下さいました。

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緑豊中学校は全てが木造でできた校舎です。

藤河内渓谷は一枚岩を水がくり抜く様に流れています。
大人たちは子ども達にお神楽を伝えています。
本当に素晴らしい感動を沢山頂きましたのでお世話になった皆さんに私はコンサートを開いて御礼を伝えました。
その後、子ども達から「コンサート凄く素晴らしかった」とお礼状が届きました。その内容は驚いた事に「僕達のふるさとは豊かな自然に恵まれています。校歌は是非、その自然が沢山感じられる歌を作って下さい」と書いて有りました。大人達の心配をよそに子ども達はちゃんと自然が豊かな自分の故郷を誇りに思っていたのですね。私は是非とも、子ども達の心を大人達に伝えてあげたい!と思いました。
201706191.jpg 平成15年4月19日、開校式で私は「竹の海」を生徒の皆さんと一緒に発表しました。
その後、私は用意して行った子ども達からの「僕達の故郷は美しい自然が自慢です」という手紙を読み上げて行きました。集まって下さった町中の皆さんは感動の涙を拭いながら大きな拍手を下さいました。あれから15年が経ちました。あっと言う間に。
そしてこの度「ユネスコエコパーク」に指定されたのです。
「ほらね!私は社交辞令でここは素晴らしいと言ってた訳では無いでしょ?」水と空気が良い事が、自然豊かな事が世界から評価され認められたのですから。こんなに嬉しい事は有りません。その間皆様はこの大自然を守り続けていらしたのですね。校歌「竹の海」を又皆さんとご一緒に歌える日を夢見ています。

エッセイ「ここは私の学校」をお持ちの方はP231~P242を再度ご覧下さいね!そして日本に世界中にある誇るべき美しい故郷を大切に致しましょう。