― イルカと和のせかい ― 「和装きもの」の絵付け、ろうけつ染めの修行に京都へ

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幼い頃から着物は大好きでした。昨年、呉服の仕事をしている夫の甥が着物プロデューサーの中賀和健秀氏と京都から訪ねて下さり、今回の素晴らしいきっかけを作ってくれました。感謝です。「いつか」と思っていた事が現実の一歩を踏み出せる事になったのですから。今回は帯に絵本の表紙を描く事としました。

先生のお机をお借りして。

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先ずは、帯地に線を入れて行きます。紙とは滲み方や染料の使い方もまるで違う上、高価な帯地に直接筆で描くのはかなりの緊張感!これが、たまらない!素材や着た時に柄がどう出るか、腕の見せ所です。時を忘れます。

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次は地色を決めて色を作り、全体に染付けしていきます。普通は色むらは絶対許されないそうですが、私は色が滲んだ感じが水彩画の私の絵本らしくていいな・・。と先生に話し、あえて滲み絵風に染めました。

帯地はこんなに長いのです。

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今回こんなに訳わからん私を引き受けて下さった小堀先生ご夫妻。きっかけは中賀和氏の意図で小堀先生が私の絵本の絵を着物と帯に描き写して下さった事。拙い私の絵をこんな凄い先生に再現して
頂くなど有り難いやら申し訳ないやらで2月にご挨拶に伺った際その勢いで「修行させて下さい!」の突撃攻撃!!無口な先生が面喰っている間に日程を決めてしまい、本当に申し訳ありませんでした。

明美先生と靖美先生に感謝です。

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先生方のご専門「ろうけつ染め」も勿論、教えて頂きました。蝋の線描きも温度と素材と筆との会話です。色を何度か乗せていくとどう出るのか段々分らなくなる。今回は帯揚げと半襟に挑戦。帰宅してからコレクションしているアジアのバテイックを見て、土下座でした。この様に毎日が全て新しい発見の日々が持てた事に私は感動しています。着物の見方も少し変りました。技法がちょっとだけ見えてきたからです。

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今回は着物や帯の沢山の技法も学ばせて頂きました。西陣の手織り工房「洛陽」さんは天保初年(1840)に創始。伝統的な京町家で、今も西陣織を作り守り続ける 京の老舗です。

伝統工芸士の横堀孝男氏のお仕事振りに感動!

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洛陽織物株式会社の皆様と。貴重な工房まで拝見させて頂き、弘法大師ゆかりの三鈷の松や美しい織物の小物入れも頂きありがとう御座いました。

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とみや織物株式会社の皆様と。こちらでは、社内にある博物館にご案内頂き一般公開していない作品の数々を拝見させて頂きました。仏像やクリムトの作品を織物にする事が出来る凄い技術に目を疑いました。まるで写真のようでした。ありがとう御座いました。

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創業明治元年染の老舗
小糸染芸さんへ。五代目小糸太郎氏が工房のご案内の後に見せて下さった図案の型紙の多さに驚きました。色と図案とのバランスや着物の未来にも熱く語って下さいました。ありがとう御座いました。今回、快く貴重な工房を拝見させて下さった社長さん達は五代目さんや六代目さんで大変な重責を担っていらっしゃいます。職人さんや道具が年々減っている現実の中で熱い情熱を秘め、ひた向きに静かなる闘志を燃やすその生き方に感銘を沢山受けました。

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ですから、ね!着物大好きな私としてはちゃんと帯が綺麗に結べないと、ね!!誰にも習った事無いのですが、何となくは着られてしまう私。でも、と教えて頂きました。正式なんを。すぐ、忘れるので困りますが。着付けの磯部紀代美先生に帯の美しい結び方を教えていただきました。先生オオキニイ。絵の帰りにモンペですんまへん。

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今回は又凄い教えも頂きました。以前から大変大好きな絵を描かれる円山四条派の水嶋征夫先生に・・。お宅に伺うと突然、先生から筆を渡され墨絵の濃淡。「ぼかし方をやってご覧なさい」と先生の後について竹の絵を描かせて頂きました。凄いです!「描こうとしてはいけません」と仰いました。「スーッと決して力まず流れるままに・・」と。奥が深い。でも凄く楽しい。ありがとう御座いました。

 今回の京都の旅はまず最初の一歩。自分ではそう思っています。余りにも奥が深すぎてまだまだ、はかり知れません。先ずは、自分が着たい物を描けるようになり皆さんにもっと着物を身近に感じて頂けるといいな!と思っています。それが、今回お世話になった先生方への少しでもご恩返しになれば良いのですが。今まで殆どの事を自己流でやって来た私にこんなに沢山の先生が出来ました。これも、京都で育った亡き夫と呉服の仕事をしていたおじさんのお導きですね。心から感謝致します。精進致します。